イメチェン
「ああ、またか・・。」
ネジは不機嫌そうに眉を顰めた。修行の最中にほどけた髪紐。はらりと髪が顔にかかる。 「うっとおしい。いっそ切るか?」 最近修行もハードになり、よく髪紐がほどける。その度に髪が無造作に広がり気に障った。 (何となく伸ばしてきたが、こだわりなんかないしな。) 「ネジ兄さん・・・。」 か細いが何よりネジの心に響く声。振り向けば、愛するヒナタが恥じらいながらネジを見詰めていた。 「ヒナタ様!」 頬を染めてネジはヒナタに駆け寄る。ヒナタが弁当の包みを差し出してきた。 「きょ、今日もつくっちゃった・・。」 照れるヒナタにネジは微笑し、弁当を受け取る。最近では普通の従兄妹の枠を超え始めていた。 (とうとうヒナタ様も俺の気持ちに応えてくれるようになったか・・。ふっ。) ネジが一人ほくそ笑んでいると、ヒナタが大きく感嘆の吐息を吐いた。 「ヒ、ヒナタ様?」 「あ、ご、ごめんなさいっ。」 照れて俯くヒナタの耳が真っ赤だった。それにネジはどきりとした。 ヒナタがどもりがちにも口を開く。 「あ、あの、兄さん、髪を下ろしていると、すっ・・素敵だなってっ・・!そ、そう思って・・・」 「!!!!!」 (ヒナタ様!!お、俺の髪が下りてるほうが好みなのか?) 余りの嬉しさに興奮気味のネジに対して、更にヒナタが言った。 「兄さんの・・さっ、鎖骨も、好き・・・っ。」 「!!!!!!」 後日。 「ネジー!イメチェン決まってるじゃない!!」 「ふん、そうか?」 テンテンにほめられ、ネジはまんざらでもなさそうだった。 「色っぽいです!でも、僕はちゃんとガイ先生と同じタイツにベストを着るべきだと思いますがね!」 「・・結構だ・・。」 リーを軽くあしらいネジはショーウィンドウに映る自分に満足する。 (うんうん、ヒナタ様を悩殺するにはこれで充分だろう。) みんなにも好評。ネジは内心ご満悦だった。 大きくあいた胸元、さらりと垂らした黒い長髪。顔には一切出さず、満足していると、油断をつかれた。 「おおおお!!ネジ!!女っぷりが上がったなあああ!!」 「ガ、ガイ・・・!!」 青ざめるネジの肩をがっしり掴みガイが高笑いする。 「ネジ!!お前はこれから班のお色気担当だあああ!!」 「なっ?!」 「男相手に存分に色気を振りまけよっ!!」 「何だと?」 「で、敵のくのいち対策のお色気はこの俺が受け持つ!! リーとテンテンはお色気には可哀想だから、綺麗で図太い俺達で熱く担当だあああああ!!」 「なっ!!!!!」 驚愕するネジに熱いガイ。 毎度からかわれるネジにテンテンはニヤリと笑う。その横でリーが呆けていた。今日も木の葉は平和だった。 |