デートの乱(シキハナ)
「あの人、凄く綺麗!!」
待ち合わせの場所へ近づくハナビの耳に少女達の声が耳に入る。 公園の噴水の前で佇むシキはかなりの人目を引く。 (シキは私のものなのに・・・!!) 恋人になってもう3ヶ月。 純情なハナビはシキに溺れるように恋に堕ちていた。 かの従兄に嫉妬深い性格が似ているハナビはきりっと唇を噛んだ。 「ハナビ様?」 シキはいきなり現れ腕に捲きついて来るハナビに驚いた。 「今度からは家でデートしよう!外は・・嫌だ」 (お前が誰かの目に触れるのは・・・) きゅっと掴む指に力が篭もる。そんなハナビにシキは驚いていたが、そうですか、と柔らかく答える。 「でも、今日は木の葉のお祭りでしょう?楽しまなくちゃ。さあ、行きましょう!」 シキの笑顔が眩しい。ハナビは頬が熱くなった。 昼間でも祭りで人が賑わっている。二人は無邪気に楽しんだ。金魚すくいに綿あめ・・。 りんごあめにシキは驚いていた。 「珍しいか?」 「はい。僕の里にはありませんでした。」 形の良い唇がりんごあめを口にする。ちろりと舌先で舐めるシキ。 赤い飴に舌を這わせるその仕草は無意識であろうとも何かを連想させてしまう。 それに扇情的なものを感じ、ハナビは目を逸らした。 「・・お前は綺麗すぎる・・。」 「え?」 「私は・・おかしくなってゆく!こんな・・はしたない自分は嫌だ!」 (惨めだ!) 夕暮れてきた人気もまばらな境内で、暫し沈黙するハナビ。 それを無言で見詰めていたシキがそれを破った。 「おかしくなってるのは僕の方です。」 「なに?」 「・・ハナビ様が愛しくて・・自分を抑えるのに必死なんです。あなたが大事だから!汚したくないから!」 だから、キスだけでいつも耐えているんです、とシキは言った。 「我慢しなくたっていいじゃないか!」 「ハナビ様、僕は男として卑怯者になりたくない。」 「!!」 「あなたを妻に迎えるまでこれ以上はあり得ません。」 シキの端整な顔がハナビに近づいてくる。 (ああ、シキ!!愛してる・・!!) 「ぷっ!!」 ドキドキと目を瞑るハナビの耳に、いきなり噴出す男の声! 弾かれたように離れる二人の目に、腹を抱えて笑い転げるネジとそれをうろたえながら諌めるヒナタの姿が入った。 「あ、あなた!ハナビに怒られちゃうよっ!!」 「しかしっ!!ぷっ!!気障過ぎてっ・・くくっ!!」 (このでばがめがっ!!) 温厚なシキの殺気にハナビが驚く。男達の乱闘まであと3秒・・・。 ☆きろる様リクでした。
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