ネジは狙う
ネジは狙いにかかった。ヒナタにだけ優しく微笑むその姿を目の当たりにしてキバはそう気づいた。
普段のネジは相変わらずクールな天才で腕を組み勝気な表情を浮かべている。
それに大体眉間に皺が寄ることが多い。
なのに、ヒナタに話しかけるときは別人のように優しく微笑み、敬語で話しかける。
しかもメロメロなのが嫌でも解るほど視線が熱い。
「一体、何があったんだ?」
たまたま道で行き会ってキバはネジに聞いてみた。ネジは不思議そうにキバを見つめ口を開いた。
「ヒアシ様の手前、ヒナタ様を敬っているだけだが、変か?」
師匠の娘だから優しくしてるだけだとネジは説明した。別に他意はないと。
その証拠に彼女のナルトへの思いも応援してるじゃないか?とネジはキバに言った。
「そうかな?あんたがそんな単純な人間だとは思えねえけどな。
だってよ、あんなにナルトに嫉妬してたくせに、どうしてそう簡単に割り切れるんだ?
・・なんかあるんじゃねえのか?」
「何もあるものか。ナルトはいい奴だ。尊敬してる。そんな奴にヒナタ様は想いを寄せて当然だ。
だから応援してる。」
「そうかな〜。だったらあの笑顔は反則だろう?ヒナタ、あんな顔したアンタと毎日いたらアンタに惚れるぜ?」
「!!」
「へっ。まあ、俺はどっちでもいいんだけどよ。ヒナタが幸せなら。
今のところネジ、あんたの方がヒナタを幸せに出来そうだし、ナルトはサクラ一筋でヒナタが可哀想だしよ。
だから、そろそろハッキリしてやれよ?従兄じゃなく一人の男として接してやれよ。」
「・・・。」
ネジが珍しく俯いたのでキバは驚いた。
「おい?」
「ふっ。やれやれ・・参ったな。俺はそんなつもりはないのにな・・。
でも、やっぱりヒナタ様を諦めたつもりでいても態度に出てしまうか・・。俺もだめだな・・」
「何も諦めなくてもいいんじゃねーの?」
「しかし、あんなに痛めつけた手前、好きでしたというのは調子が良すぎる気がしてな。
だから・・ほとぼりが冷めるまでは優しく見守ろうと決心していたのだが・・」
お前に気づかれたかとネジはキバを見た。
俺じゃなくても気付くってーの!と心で突っ込みながらキバは苦笑した。
「ほとぼりって・・ドン位待つ気だったんだ?」
「ナルトが里に戻って、ヒナタ様が失恋したら、慰めつつモノにするつもりだった・・。」
やっぱりなとキバは溜息を付いた。
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