遅い(ナルヒナ、ネジヒナ)


 
 サクラちゃんが大好きだった。

 綺麗で可愛くて、サスケに認めてもらいたくて必死に頑張る姿が可愛くて目が離せなかった。

 俺ってば、本当に夢中だった。周りが目に入らないくらい夢中だった。

 だから、俺に好意を寄せてくている女の子の存在なんて気づきもしなかった。

 気づこうにも相手はとても地味で存在感が薄い、あのヒナタだったから無理もなかったと思うけど。

 ヒナタはよく付き合えば優しくて思いやりのある奴だった。俺は友人としてあいつを認めた。・・それだけだった。




 「ナルト君、お帰りなさい。」

 「おう!ヒナタか。久しぶりだってばよ!!」

 相変わらずモジモジ恥ずかしそうなヒナタの呼びかけに俺は笑顔で答えた。

 3年も経って俺は随分変わったらしく皆に驚きの目で見られていた。

 案の定ヒナタも俺を見て顔を赤らめて「ナルト君、かっこよくなったね・・」とか細い声で眩しそうに俺を見上げていた。

 俺は素直にありがとうと答えた。

 ヒナタだって随分変わっていた。俺から目を逸らさなくなった。

 ちゃんと喋る様になっていた。それに髪だって伸びていた。

 優しそうな雰囲気はそのままに随分綺麗になっていた。

 「ヒナタも随分綺麗になったってばよ。恋人でも出来たのか?」

 茶化すように聞いてみた。ヒナタは一瞬目を瞠って俺を見た。それから俯いて小さく頷いた。

 「うん。」

 「そっか・・」

 俺は何も言えなくなった。なんだか酷い喪失感に襲われていた。

 「俺の知ってる奴?キバとかシノとか。まさかネジじゃあないよな?」

 「・・ネジ兄さんとつきあってるの・・」

 「まじかよ?だってあいつってばお前の事あんなに・・」

 「ナルト君、心配してくれてありがとう。でも今は兄さんとても優しいの。ナルト君のおかげだよ。」

 俺に負けてあいつは変わったとヒナタは言った。そのおかげで歩み寄る事が出来たと。

 「私、ずっとナルト君が好きだったの・・。兄さんはそんな私を励ましてくれて・・。理解してくれたから・・」

 憧れの俺から卒業できたのはいつもそばにあいつがいてくれたからだとヒナタは言った。

 何だよ、それ。ふざけるなよ!俺は身体が熱くなった。 


                              
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