ナルトくんへ・・・


  
 「ナルト君・・・」

 ヒナタは憧れの少年の名を呟く。

 大好きな金髪のあの少年は今頃修行に明け暮れているのだろう。

 怪我などしていないかいつも心配してしまう。

 幼い頃から大好きで、いつも影から見つめていた。うずまきナルト・・勇気を与えてくれる存在。

 内気ではっきり出来ないヒナタはいつもそんな自分が嫌で仕方なく、変わりたいと思っていた。

 そんな彼女の目に、落ちこぼれと大人たちに蔑まれても自分を信じて強く生きるナルトが飛び込んできた。

 鮮やかに輝くように自分を信じ、影で血の滲むような努力をしながらも、それを微塵も表に出さず明るく笑うナルト。

 (なんて、素敵な人なんだろう・・・)

 ヒナタは生まれて初めて胸がときめいた。

 それからはナルトから目が離せなくなった。いつも目で探していた。



 そんなある日、ヒナタはナルトの異変に気づいた。

 ナルトが顔を赤らめ声をかける姿。相手はくのいちクラスの中でも一番の美形で人気のある少女。

 (サクラちゃん・・・)

 きゅんっと胸が痛んだ。ナルトはサクラが好きなのだと一目で分かった。

 当然だとヒナタは思った。誰だって綺麗で明るい女の子が好きに決まっている。
 
 何も言わずただ見つめているだけのこんな暗くて地味な自分など好かれる筈がない。そう思った。




 「でも、あの後、こんな私でも結構好きだってナルト君、言ってくれたっけ・・」

 ふふっとヒナタは思い出し笑いをした。

 自分のたどたどしい励ましの言葉にナルトが感謝の意を込めて言ってくれた言葉。

 もちろん、恋愛感情など含まない単純な友達としての言葉。

 それでもヒナタには十分だった。ナルトにいい奴だと認められただけで満足だった。



 「ナルト君、ありがとう」

 (あなたのおかげで少しだけ自分に自信がもてたような気がします・・。

   これからはアナタに恥ずかしくないよう頑張っていこうと思います。)


  ヒナタはナルトに宛てた手紙に小さな感謝の言葉を綴った。 


                                 
トップへ
戻る