歪み 2 (サスヒナ)



 サスケはナルトに対して激しい嫉妬に囚われていた。 

 憎いとはいえまだ心のどこかで慕う兄に求められているナルトが堪らなく妬ましかった。

 (ナルト、お前が憎い!!)

 大切な仲間であるサクラも自分よりナルトを認めている。

 彼女が自分に恋心を抱いていても力を認められなければ満たされない。ナルトが妬ましい。



 そんな時、サスケは演習場で一人修行をするヒナタを見かけた。

 地味で大人しい少女。興味も湧かなかった相手。

 だが彼女はいつもナルトを眩しそうに見つめていた。

 ナルトを思う女など貴重だと嘲りながらサスケはヒナタに近づき声をかけていた。

 「よう。ひとりか?」

 「う・・うん。サスケ君も?」

 オドオドしながら上目遣いに答えるヒナタにサスケは言い知れぬ感情がこみ上げてきた。

 幼いながらも言い様のない色香を漂わせているその表情。

 よく見れば整った顔立ち。こんなにも清楚で可憐な少女だったのかと改めて驚く。


 (コイツ・・自覚してないのか?)


 自信のなさそうなヒナタの仕草に征服欲を掻き立てられる。

 こんな気持ちは初めてだった。

 それに・・・ナルトを慕う女を自分の虜に出来たら?

 いいようのない感情が込み上げてきた。それは・・・さぞかし彼を満たす事だろう。

 「サ・・サスケくん?」

 また躊躇いながらも彼女がサスケに声をかけてきた。

 その甘い優しい声、つぶらな瞳・・・。どくんと鼓動が大きくうねる。

 サスケは迷わず彼女を抱きしめていた。

 「あっ!!」

 「いい身体してるじゃないか?」

 違う、こんな下卑た言葉が言いたいのじゃない。だが彼は素直になれなかった。

 だから、わざと自分を煽るように自身を貶めるような態度に出る。

 ヒナタの華奢だが豊満な胸を服の上から弄り、サスケは薄く笑った。

 ヒナタが脅えた目でサスケを見上げる。

 その目に煽られサスケは彼女を押し倒そうとする。

 だが勢い良く胸を押されよろめいてしまった。どうやらチャクラを練りこまれたらしい。

 不覚をとったとサスケは自嘲気味に笑った。

 遠のく彼女。逃がすものかと後を追う。

 好きではない。だが支配したいと強く思った。

 里を抜けるその前に自分の存在していたという証をあの少女に刻みこみたいとサスケは思っていた。


                                  
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