リー、観察する

 今日のネジはとても変でした。

 ソワソワ落ち着きがなく、何か上の空で。そんなネジから一本取っても少しも嬉しくありません!

 僕は堪らず彼に叫んでいました。

 「どうしたんです?今日のネジはおかしいですよ?」

 「あ?ああ・・そうか?・・どうでもいいがな・・」

 ネジはそう言うと演習場の丸太の前にへたりと座り込み目を閉じました。

 僕はがっかりしてしまいました。

 普段からクールでそっけない彼ですがこんなにやる気の無い姿は初めてです。

 こっちまで力が抜けてしまいます。

 「テンテン、ネジは一体どうしたんでしょう?」

 「ふふ。ネジはね、疲れてんのよ。」

 「疲れてる?」

 僕は驚きました。だって最近は任務もなくて演習ばかり。

 それも普段と変わらない内容で今更疲れるなんて・・・。

 「リーったら、鈍感ね!ネジは夜のお勤めが忙しくて疲れてんのよ!」

 「?。夜勤なんてネジだけ任務があったんですか?」

 僕の質問にテンテンはにやにやと笑いながら馬鹿ねと言います。

 僕は何がなんだかわからなくて困ってしまいました。

 「ほら、あれを見て?」

 テンテンに促されて目を向けるとネジが何かを飲んでます。

 「・・栄養ドリンク?」

 「3本目ね・・。」

 よく見ればネジの足元に空になった小瓶が転がってます。

 「私たちが見てるのにこんなにも大っぴらにするなんて・・思考能力まで麻痺してるようね。

  普段むっつりなだけに、相当たまっていたんでしょうけど。ふふ」

 「あっ!なんかかじってます!」

 僕は信じられないものを見てしまいました!

 あの小食で上品なネジが干物をかじっているのです!しかもあれは・・まむし?

 「今夜もやる気満々なわけね!」

 何をでしょう?僕は何故か腰を痛そうにさするネジを見ながら首を傾げました。

 「ヒナタちゃん、花嫁修業の為に忍者やめたのよね。きっとネジのせいよ。
 
  ヒアシ様にばれるように仕向けたみたいだし。ヒナタちゃんの事も無理やりだったみたいよ。」

 「え?」

 よく意味がわかりませんが、ヒナタさんが関係しているようです。

 まだ宗家と揉めているのでしょうか?

 「ネジも苦労してるんですね。ヒナタさんの護衛。」

 僕の言葉にテンテンが大きく溜息をついてしまいました。

 「リー、あんたももう18になるんだから少しは勉強しなさい!」



                             
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