二人の恋(ネジヒナ子供達)
ネジとヒナタが結婚してから、15年が過ぎた。 二人には3人の子供が授かった。 長男 アサヒ、13歳。 次男 ユウヒ、11歳。 長女 ヨゾラ、 9歳。 皆、ネジの遺伝子を色濃く受け継いでいた。特に勝気で擦れた性格が・・・。 シキとハナビが結婚してから、10年が過ぎた。 二人には2人の子供が授かった。 長女 ホタル、9歳。 長男 フウガ、7歳。 これはそんな彼らの子供達のお話・・・。 「ホタルはシキ叔父様に似て、美人よねえ。」 自分の漆黒の髪を弄びながら、ヨゾラはホタルの金に輝く髪を眩しそうに眺める。 同じ年の従妹。宗家のホタルは絶世の美少女であった。 彼女の父親シキは日向一の美貌を誇っていて、彼女はそれに生き写しだったのだ。 対して、ヨゾラは愛らしい母ヒナタではなく、厳しい男らしさに満ちた父のネジに生き写し。 「父上も、悪くはないけど、・・可愛くはないからなあ・・。」 「そ、そんな事ないよ?ヨゾラちゃんは可愛いよ?」 「ありがと、ホタル。」 はにかむホタルは、内気で気弱なところが、なぜかヨゾラの母のヒナタに似ていた。 これだけ美しいのだから自身を持てばいいのにと、いつもヨゾラは思っていた。 「おい、ヨゾラ、稽古の時間だぞ?」 日向の敷地内の広場で遊んでいたヨゾラに少年が声を掛ける。 「ユウヒ兄さん。」 ユウヒと呼ばれた少年は、端整な顔立ちで凛々しかった。彼は眉を顰める。 「ホタル様、またヨゾラと遊んでいるのか?」 「え・・・?は、はい。」 「ふうん。物好きだな、あなたもヨゾラみたいにお転婆になってしまうぞ?」 「ユウヒ兄さん!!酷いじゃない!!」 喰いかかる妹を軽くあしらいながらユウヒはクスクスと笑った。 「ヨゾラ、早く行こう。父上がお待ちかねだ。」 「えっ!!父上が戻られたの?」 「ああ、つい先程な。」 「3ヶ月振りじゃない!!ホタルも一緒に行こうよ!!」 「う、うん。」 待ちきれないのか二人を置いてヨゾラは先に行ってしまった。 「全く、アイツは仕様がないな。」 呆れて溜息をつくユウヒをホタルは頬を染めて見上げる。 (ユウヒ兄さま、いつ見ても素敵だな・・・・・。) 「? 俺の顔に何かついてますか?」 「えっ!!いえ、その・・・なっ、なにも・・。」 「そうですか。」 紅くなるホタルをユウヒは不思議そうに見詰める。 ユウヒの短く切り揃えられた藍色の髪が風に靡いた。 (あ、ヒナタ伯母様と同じ色・・・。) 綺麗だな・・・、ホタルはそう感じた。ユウヒは凛々しかったが優しい顔立ちだ。 「そうだ、さっき、アサヒ兄さんがホタル様を捜していたんだ。」 「ええっ!!」 (アサヒ兄さまが?!) ホタルの脳裏に厳しい空気を纏うアサヒの秀麗な姿が浮かんだ。 「ああ、アサヒ兄さんは、あなたにご執心だからな。」 あっさりとユウヒは言い放つ。彼はホタルに興味が無いようだった。 ・・想う人には想われず、想わぬ人から想われる・・・・。 そうホタルが力を落とし項垂れた瞬間、苦手なその声が背後から響いた。 「・・ここにいたのか、ホタル様。」 二人が振り向けば、ニヤリと哂うアサヒの姿があった。 栗色の長髪を一つに束ねたアサヒは、長身で顔立ちがネジによく似ている。 厳しい父に良く似た彼は、中身もそして異性の好みまでも父親に良く似ていた。 彼は母に性格の似たホタルに首っ丈なのだから。 そんな兄にユウヒは苦笑しながら声をかける。 「アサヒ兄さん。」 「ユウヒ、先に行ってろ。俺はホタル様と二人きりになりたいんだ。」 「いいですけど、ホタル様が何と言うか・・・。」 二人の従兄の視線にホタルは青ざめた。アサヒから漂う空気に慄いてしまう。 (逆らったら、又、ネチネチと苛められちゃう!!) 「わ、わたし、かまいません・・・。」 「そうですか?じゃあ俺はこれで・・。」 ユウヒは二人を置いてさっさっと行ってしまった。 (ああ、ユウヒ兄さま・・・・。) がっかりと肩を落とすホタルにアサヒがスッとかんざしを差し出した。 「任務の帰りに見つけたんだ。ホタル様にきっと似合うとおもってな!」 「あ、ありがとう・・。」 真珠のかんざし、きっと値の張るものに違いない。 中忍とはいえ、アサヒの給料ではきつかったはずだ。 ホタルは胸が締め付けられた。いつも苛められるから苦手だったが、アサヒは 根本的には優しかった。 「あ、あの、これ、髪に飾ってもいい?」 「ああ、俺が付けてやろう。」 季節は5月、薫風香る頃。 ホタルとアサヒの不器用な恋物語が始まろうとしていた。 ☆ きろる様リクで、ネジヒナ&シキハナの子供達でした。 |